つらつらつら

バオバブの木と点燈夫



バオバブについての話。


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バオバブという木がある
アフリカに生息する巨大木で、高さは30mから、最も大きいものではおよそ50m近くまであるらしい。
樹齢は1000年あると言われ、現地では精霊が宿る木として親しまれる。
そしてこの雄大に真っ直ぐそびえ立つ姿と、まるで上下を逆にしたような形が特長だ。

ありきたりかもしれないけれど、人生の目標の1つに、バオバブの木を実際に自分の目で見ることがある。
ぼんやりと生きてきた中で、自分としては珍しい、昔からはっきりと抱いてきた夢だ。
乾燥などの厳しい条件を乗り越えてそびえ立つそれを見たら感動するだろうなと思って、死ぬまでに一度見てみたい


バオバブは、サン=テグジュペリの『星の王子様』の中で、王子の住む、大切な小さな星を割ってしまいそうな3本の木として登場する。
小さな芽のうちに駆除しなかったから、気付けば自分ではもうどうにもできないくらい大きくなってしまっている。それも、小さな星に3本もあるから、根はそこを破壊してしまうだろう。
でも、大きく育つまえに羊に食べてもらうにしても、小さなうちはそれがバラなのかバオバブなのか区別できない。
バオバブが何を指すのかとか、人生の教訓とかいろいろあるけれど、大切なものを守ることを考えたために、結果的にそれを失うであろう王子の姿がただ幼心に衝撃だった。


自分のなかに星の王子様の中でもう一つ印象に残った場面があって、それが点燈夫の話だ。

王子が5番目に訪れた星に居たのが1人の点燈夫で、彼は星にある街灯に火をつけて、火を消すのが仕事だった。
それはとても美しい仕事だけど、彼の居る星は1分間に1周もするようになってしまい、ずっと灯りを点けては消して、を繰り返さなければならない。
小さな星なんだから、ちょっと座る場所を変えれば夕日も眺められるし、ゆっくり歩けばもっと眺められるのに、ずっと仕事をしている。
なぜか聞いてみると、それが命令だから。
自分のことよりも、他人のために灯りをともすその姿は、哀れで滑稽なんだけど、その美しい仕事にひたすら没頭している姿が羨ましいとも思った。


いま19歳の自分にはまだ点燈夫のように誇りを持てるものはない。
しかし何年も先、滑稽で哀れな姿になってるかもしれないけれど、いつかそういう何かを得て、この点燈夫の話を考えながら、バオバブの木を見てみたい。


難しいことゴチャゴチャ言ったけど、純粋にバオバブの立つ光景って綺麗だから一生に一度は見てみたいね!


おわり